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熊野古道に地元グルメ。甲斐みのりと行く「大辺路」特集

文筆家・甲斐みのり氏が旅人となり、熊野古道大辺路を歩いて感じた魅力をご紹介。
ルート内の見どころや地元らしいよりみちスポット等を甲斐みのり氏目線で執筆していただきました。

旅人のご紹介

甲斐みのり
文筆家。旅、散歩、お菓子、地元パン、手みやげ、クラシックホテルや建築、雑貨や暮らしなどを主な題材に、書籍、雑誌、webなどに執筆している。

旅のおとも

駅から駅へ、歩いて巡る 熊野古道大辺路散策マップ
熊野古道大辺路のうち、熊野エリア内でJR紀勢本線の駅を起点・終点に設定した日帰りの4コースを選定し、その見どころ、楽しみ方をコースとともに紹介しています。


 熊野古道 大辺路

田辺市の道標から那智勝浦町の補陀洛山寺にかけて、紀伊半島の海沿いを通るルートが熊野古道の大辺路(おおへち)。
海岸や岩場など見どころが多く、江戸時代ごろ巡礼者に親しまれました。
当時の文人墨客が、多彩な紀行文や絵画を今に伝えています。

 甲斐みのりと行く大辺路

 仕事やプライベートで、年に数回和歌山県に通い始めて十数年が経ちました。そのほとんどが南紀白浜空港から近い田辺市や白浜町を拠点としていましたが、ときに足を延ばして、串本町、那智勝浦町、新宮市と東牟婁地域を散策することも。もともと、文学、建築、老舗ホテル、昔なgらの菓子やパンに興味があった私は、西村伊作、佐藤春夫、中上健次ゆかりの地として東牟婁エリアへの憧れがありました。加えて、「ホテル浦島」や鈴焼の「香梅堂」などの取材を通して、ますます魅せられ親しみを抱くように。訪れるたび、「次はこの店であれを食べたい」とか、「今度はあそこにも立ち寄ろう」と、行きたい店や場所が増えていきました。

 それから、熊野本宮大社・熊野那智大社・熊野速玉大社の三山に向かうための巡礼道・熊野古道が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された20年前から、いつか聖なる道をたどってみたいと願い続けていました。身分や性別や信仰の差別なく、「よみがえりの地」として誰しもを柔軟に受け入れる寛容な聖地は、今では世界中の人々から賞賛を集め、国内外から多くの旅行者が熊野を目指してやってきます。そうして私も、田辺市街地から山中に分け入り熊野本宮に向かう「中辺路」ルートを歩く機会を何度か得てきましたが、ガイドさんや和歌山の友人に「田辺から那智勝浦まで、紀伊半島の海沿いを通る『大辺路』ルートもぜひ」と勧められていました。皇族や貴族が熊野御幸を行った中辺路に比べて少し距離が長く、坂道や峠が多い分、風光明媚な熊野灘や岩場の景観も楽しめることから、庶民文人墨客に好まれてきたそうです。

 古くから地域の人々の暮らしを支える生活道としての役割を果たしていた大辺路は、鉄道・国道・汽船路の開通により、参詣道としての注目が薄れていた時期がありました。しかし近年は、大辺路の魅力を守り伝える地元の人々の尽力で、地域の人の普段の暮らしとすぐ隣り合わせにある稀有な環境が再評価されています。今回私も熊野古道大辺路の保全・整備・道の探索活動、ウォークイベントやガイド活動もおこなう「大辺路刈り開き隊」の神保圭志さんの案内で、初めて大辺路ルートある木を体験しました。熊野古道らしい険しい峠や山道はもちろんのこと、のどかな里山の風景や、歴史や文化を感じる趣あるまち並みの中を歩くのが新鮮で気持ちが満たされ、心身ともにリフレッシュ。日ごろの疲れを消し去るほどに、目に映るさまざまな事柄から好奇心や感動を得られるのも、「よみがえりの地」の恩恵。これからも繰り返し通ってまち並みを楽しみながら、大辺路すべてを歩いてみたいと思っています。

 今回歩いた大辺路ルート

JR串本駅~JR紀伊姫駅(串本町)

  • しりでの坂

本州最南端の串本駅からウォーキングを開始。路地が多くあるまち中は、赤レンガやなまこ壁が風情を織り成し、古い映画の中へもぐりこんだような心地に。円山応挙(まるやまおうきょ)や長沢芦雪(ながさわろせつ)の作品を貯蔵する「無量寺」でも、文化・芸術の香りを堪能。その後に大辺路へ向かい、田畑の風景を眺めつつのんびり歩きました。ルートの最後、しりでの坂の展望所から見下ろした迫力ある橋杭岩の絶景も忘れることができません。

串本の街並み

まちじゅうまるごと、物語のような風情ある串本町のまち並み。社殿や鳥居がなく自然崇拝の神社の原型をとどめる「矢倉神社」や、地域の繁栄を物語る立派な「赤レンガ塀」が、すぐ近くにあり続けていることに感動しました。明治時代に建てられた豪商の邸宅だった「稲村亭」はじめ、歴史的建造物を活用した宿、レストラン、カフェなど、文化的な施設も豊富で、飽きることなく1日ゆったり過ごすことができます。

50年近くつづくレストラン「サンドリア」。新名物は、串本町に建設された、日本初の民間ロケット射場から打ち上げられる「カイロス」に見立てた「串シーフードロケット飛(フライ)カレー」。洋食、和食、小鉢や揚げ物、サンドイッチやパスタなどの軽食、パフェなどのデザートまで、度の料理も丁寧に手作りされるなか、特に人気なのがイノブタを使った肉々しいハンバーグ。自分が住むまちにも、こんな店があったらいいな。

カフェレストラン サンドリア

東牟婁郡串本町串本2505
TEL:0735-62-5667
9:00~21:00
不定休
駐車場:有

JR湯川駅~JR那智駅(那智勝浦町)

  • ゆかし潟

湯川駅からスタートし、野の草花や鳥のさえずりに心を傾け癒されながら、ゆかし潟周辺をぐるりと。途中、「カフェコッペ」で食べたかき氷がほどよく疲れた体に染み入りました。世界遺産に登録される駿田(するだ)峠の大きな切り通しの趣ある風景は、今回の大辺路ルートの山場のひとつ。最後に「補陀洛山寺(ふだらくさんじ)」で那智参詣曼荼羅(まんだら)の絵解きを体験し、熊野信仰の世界観や那智参詣のご利益への理解がより深まりました。

駿田峠

あまり山道を歩くことに慣れていないため、初めての大辺路では、生活道として整備された歩きやすい道が多く随分と助けられました。そんな中、駿田峠は大辺路の中でも、熊野古道と聞いて誰もがイメージするような比較的険しい山道。それはそれで風情があって、古の時代に思いを馳せなあら、絶景の切り通しの風景を夢中で写真におさめました。峠越えの人を見守る加寿(かす)地蔵は、足腰の痛みに悩む人も参拝するそうです。

那智勝浦町の「喫茶ユータウン」で、ユータウンパフェと手作りホットケーキで小休止。懐かしい味わいのホットケーキは生地からブレンドしているそう。パフェは見目麗しい!ママとお話ししていると「足腰元気よ」とスクワットを披露してくださった。池を設えた箱庭を眺めたりママやマスターと話したり、楽しい時間を過ごしました。

喫茶ユータウン

東牟婁郡那智勝浦町朝日4-79
TEL:0735-52-2387
8:15~19:00
定休日:金曜日
駐車場:有

 熊野古道・大辺路のよりみちグルメ

熊野古道大辺路を歩くだけじゃもったいない。
地元の銘菓、地魚、生まぐろ、かき氷。
古道歩きのお供にして、峠の上で、頑張って歩いた自分へのご褒美に、旅のお土産に。

うすかわ饅頭 儀平

串本から宇宙に飛んで行くロケットをイメージしたロケット饅頭「そらのかけはし」と、本町でのロケット打ち上げ時に誕生した宇宙琥珀「ロケッ糖」をおみやげに。

住所:串本町串本1851
電話:0735-62-0075
営業時間:8:00~18:00

菓子潮ざき

橋杭岩の立岩をイメージした「立岩巻」。ふっくら手焼きした皮の中身は、こし餡とカスタードの2種類。箱を開くとカスタードの生地には、にっこり顔の焼き印が。

住所:串本町串本40-35
電話:0735-62-5288
営業時間:〈平日〉9:00~18:00 〈土日祝〉9:00~17:00

しおみ

小ぶりの「たぬきケーキ」は、毎日でも味わいたい素朴な和洋菓子が並ぶ菓子店の新顔。軽やかな後味のバタークリームを使い、ぺろりとひとつ平らげてしまいました。

住所:串本町古座1032-14
電話:0735-72-2144
営業時間:月~土曜日 8:30~18:00
定休日:毎週火曜日、第1・3水曜日

ボングくすもと

レトロな佇まいがとても好みなパンの店。昔ながらの袋に入ったあんぱんやクリームパンを買って、「道の駅くしもと橋杭岩」の休憩所で朝食として味わいました。

住所:串本町串本1734
電話:0735-62-0233
営業時間:月~土曜日 5:00~20:00

尾鷲牛乳

尾鷲(おわし)牛乳は地元の洋菓子店やパン店にも愛される地域密着型の牛乳屋さん。直営店を兼ねたソフトクリーム店で、ミルキーな無添加のソフトクリーム。

住所:串本町高富805-1
電話:0735-62-0447
営業時間:〈平日〉13:00~20:00 〈土日祝〉11:00~20:00

串本旬彩 おおはし

ヤイトかつお、アラハダかます、紀州梅シマアジ……一般の市場には出回らない店主厳選の魚のお造りを味わえる名店。「濃厚しぼり柚子のビアカクテル」と合わせて!

住所:串本町串本2304
電話:0735-67-7466
営業時間:17:30~21:30 〈土日祝のみランチあり〉11:30~14:00
定休日:毎週水曜日、第1・3火曜日

亀八屋

営業は週2日と限られているため、地元の方もなかなか食べられない味出そう。白とよもぎ、末広がりの形をした2色のお餅。やわやわでふわふわで、きめ細やかな食感。

住所:太地町大字太地3383
電話:0735-59-2258
営業時間:火、土曜日 10:00~ ※売切れ次第終了

きむらや

総菜パンから菓子パンまで、種類が豊富でどのパンにしようか迷う時間も楽しいひととき。レモンケーキのような「ハニーレモン」と、カステラパンを購入しました。

住所:那智勝浦町大字築地1-1-11
電話:0735-52-0269
営業時間:月~土曜日 7:30~17:45

和か屋 本店

おみやげに持ち帰った「お滝もち」。延命長寿の祈念を込めて那智の滝をイメージしているそう。そのままはもちろんのこと。焼いて食べても香ばしくて美味でした。

住所:那智勝浦町那智山456
電話:0735-55-0720
営業時間:8:00~17:00

カフェコッペ

熊野古道歩きの途中に。練乳ミルクベースの氷を削り出して作る「ジェラート風かき氷」でひと休み。香ばしいシュガーコーンと、ふわふわの氷を交互に口の中へ。

住所:那智勝浦町橋ノ川238-1
電話:0735-30-1782
営業時間:8:00~17:00 ※金曜日のみ~21:00

マグロ無人販売所

1パック200円から生まぐろを販売している無人販売所へ。購入してすぐにその場で味わうと、新鮮でもちもち。いつでも食べられる地元のみなさんがうらやましい!

住所:那智勝浦町内各地

お食事処 桂城

お造り、カツ、鉄板焼き……。まぐろの希少部位を使った地魚の料理から、くじらやイルカと、那智勝浦ならではの新鮮な海の幸を、心ゆくまでお腹いっぱいいただきました!

住所:那智勝浦町大字勝浦398-11
電話:0735-52-1845
営業時間:火~日曜日 11:30~14:00、17:00~20:30
定休日:毎週月曜日、第4日曜日

香梅堂

愛らしい一口サイズの鈴型のカステラ「鈴焼」。ふんわりとした生地に、濃厚な卵の風味。優しく懐かしい味わいで、コーヒーの他にも、牛乳と合わせると好相性でした。

住所:新宮市大橋通3-3-4
電話:0735-22-3132
営業時間:9:00~21:00 ※日曜日は~17:30
定休日:火曜日(時期により変更あり)

仲氷店

食べ歩き用に棒を刺したスイカ氷。昔は複数の店が作っていたけれど、今はもうほとんどやっている店はないのだそう。削り出した氷を手先で固めて作ります。

住所:新宮市新宮551-12
電話:0735-21-5300
営業時間:9:00~17:00

畑地製菓舗

生菓子やどら焼きなどのお菓子が並ぶ中、選んだのが「ヤキリンゴ」。ふわふわのブッセ生地に、クリームとりんごをはさんだお菓子。レトロなパッケージも愛らしい。

住所:新宮市蓬莱3-7-1
電話:0735-22-3056
営業時間:8:00~17:00
定休日:日曜日

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